「・・・・・・・・・・」
砂漠の中の街に着くと、私は絶句した―――――。
Act.1 錬金術師との出会い
「・・・・・どーしてリオールの街なの―――!?」
そう、私の記憶に間違いが無ければここは『鋼の錬金術師』の一巻に出てくる『リオール』。
一体何なの、この事態!?
頭の中で一人混乱していると、聞き覚え・・・いや、読み覚えのある言葉が聞こえてきた。
《この地上に生ける神の子らよ 祈り信じよ されば救われん・・・・・・》
ん?
これってあの神の代理人だかなんだかホザいていたハゲ教主の宗教放送・・・?
うむ・・・生で聴くと余計に胡散臭い。
うんうん、と頷きながらその放送を聴いていると。
ボ!! 「うわぁ!?」
何やら煙が出そうな音と、数人の驚くような声が聞こえてきた。
「・・・・・―――――――!!!!」 がしゃ――っ
続けて怒鳴るような声と、物が引っくり返ったり割れたりする音が聞こえた。
「ん?なんだ―――?」
私は少し興味を持って音のした方へと走り出す。
そして辿り着いた時、目にした集団から女の人が丁度離れて行った所だった。
残った人たちの中に、とても見覚えのあるような無いような二人組が立っている。
「はっ!?あれはもしや・・・・!」
金髪三つ編み赤いコート。
&
全身鎧にひらひらフンドシ。
「きゃ―――――――vvチビ豆&フンドシ一丁鎧――――!!!」
と、喜びに駆られ叫び声を上げた途端。
「くぉら!!誰が豆粒だってぇ―――〜〜!?」
瞬間移動でもしたかのような速さで私の目の前に金髪金目が立っていた。
「・・って・・・キャ―――!いつの間に!?ってか何でそんなに素早いの!!!?」
「あー?・・・・・つーかお前誰だよ」
今度は私の顔を覗き込んでくる。
しかも下から。
「・・プッ」
ブチッ・・・・。
「てめ、コラァ!!今笑いやがった!!何だよ少しばかりデカイからってぇ!!喧嘩売ってんのかこんにゃろう!!!」
ぐわし!!と私の胸倉を掴んでくる。
「(・・・・・・フンドシ一丁・・・)・・・あっ!や、やめなよ兄さん!!」
「止めんな!!!!」
結局、鎧サマに止められました。
暴走豆粒が落ち着いて、少し人気の無いところへ移動する。
「で、お前誰だ?」
「あぁ、申し遅れまして。私、・・・」
いや、待てよ。これは長年(?)夢見てきた異世界トリップと言うやつではあるまいか・・・。
と、いうことはずうっとずうっと考えていた、『外人になったらどんな苗字がいい?』(何故)なんて事も使えてしまうのでは!?
いいなー、いいなー、横文字偽名ー。
よし、使おう!!私、それで一生生きていける自信ある!!(無くていいよ・・・。 by管理人
「私、・!!よろしくね、エド!アル!」
しばし沈黙。
「なっ、なっ、名乗っても無いのに何で知ってんだよ!!」
・・・・・・はっ!しまった、いつもの癖(?)で!!
「え、えと・・・ほ、ほら!エドってば有名だからさぁ。それにしても凄いよねぇ!二つ名の由来が機械鎧だなんてさ!!」
またまた沈黙。
「し、しかも何でそんな事まで知って・・・・・・。お前、何者だ?」
はうぅっ!!?また墓穴掘るような事をっ!馬鹿、私の馬鹿―――!!
どう見ても私の事疑ってるよ・・・。
「あ――・・・何者、と聞かれても・・・。あ!そうそう。私、異世界からこっちに来ちゃったみたいで〜」
「「 はぁ!? 」」
今度はアルも反応。
よかったぁ〜沈黙にならないで。
いや、よくないよくない。
「・・・異世界ってお前・・・何だソレ」
「い、異世界は異世界デス(冷汗)」
あっちゃ〜。次は「大丈夫かコイツ」的な目で見られてる・・・。
「うーんと、もしかして異世界での情報の中に、ボクたちの事でもあったのかな?」
アルが普通に話を振ってくれた。
「うん、本当にいろんな事がね。そういう本があるの。・・・エドが機械鎧になっちゃった理由とか、アルの鎧の中身とか。ああエド、怒んないでね」
またエドが驚いたような顔をしたので、一応宥めておく。
「でも、どうして異世界の人がここへ?」
アルはエドの方に目(無いけど)を向けてから、続けて質問してくる。
「・・・質問してくれたのはありがたいんだけど、私にもよく判らなくって。玄関のドア開けた途端に一面砂漠。ドア消えてるし」
そこまで言うと、エドが話に入ってきた。
「ってことは帰り方が判らないって事だよな?」
「そういう事になります・・・」
エドは、「ふぅ」と頭を掻きながら溜息をつき、少し間を置いて口を開いた。
「お前、オレたちと来るか?」
「・・・え?」
っていうか何、イキナリこの人は・・・。
「いや、この世界に来たばかりって事は、全然地理にも詳しくないんだろ?金も無いだろうし」
えっと・・大体はマンガで読んでるけど、場面が変わってるから移動時間も知らない・・・。
お金・・・、センズと円は$と違って同じ単位らしいけど、換金なんて出来そうもないし・・・。
「うん、確かに・・・。でもいいの?」
「オレが言ってんだからいいに決まってんだろ」
「仕方ないよ。困ってる人を見捨てられない質なんだよね、兄さんはさ」
「余計な事言うなアル!!」
エドはアルに突っかかっていく。
「・・・ありがとう」
私がお礼を言うと、口論していたエドがピタリと止まる。
「・・・――――何か礼を言われるとなぁ・・・・・・」
そうエドは呟くと、頬を指で掻きながらそっぽを向く。
アルが「照れ隠しなんだよ」と私に耳打ちした。
へ〜。やっぱ可愛いトコあるなぁ・・・。
「さてと、この町を調べねぇとな。まずはあそこに見える教会でも行ってみるか」
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2005.08.05.Fri