「・・・なるほど、そうか貴様・・・。なぜ、こんなガキが“鋼”なんぞという厳い称号を掲げているのか不思議でならなかったが・・・。そういう訳か・・・」








教主はエドの右腕の機械鎧を見て話を続ける。








「ロゼ。この者達はな、錬金術師の間では暗黙のうちに禁じられている『人体錬成』を・・・最大の禁忌を犯しおったのよ!!」







「・・・!!」





























Act.4 神に背きし者





























アルは人体錬成をした四年前の事を話し出した。



















「ただもう一度母さんの笑顔が見たかっただけだったんだ」















この理由で。
















錬金術の禁忌にふれていても、それだけのために・・・。






















でも、錬成は失敗し、錬成の過程でエドは左足を、アルは身体を全部持って行かれてしまった。






















「兄さんは左足を失ったままの重傷で・・・今度はボクの魂をその右腕と引き替えに錬成して、この鎧に定着させたんだ」

















「へっ・・・二人がかりで一人の人間を甦らせようとしてこのザマだ・・・。ロゼ、人を甦らせるってことはこういうことだ。その覚悟があるのか?あんたには!」








エドの言葉にロゼがびくっと反応する。










「くくく・・・。エドワード・エルリック!!貴様それで国家錬金術師とは!!これが笑わずにいられるか!?」








「うっせーんだよ石が無きゃ何もできねぇ、どサンピンが!」








「なるほどなるほど。それで賢者の石を欲するか。そうだなあ、これを使えば人体錬成も成功するかもなぁ?」






そして「くっくっく」と笑う教主。







「カン違いすんなよハゲ!石が欲しいのは元の身体に戻るためだ。もっとも、元に戻れるかもだけどな・・・!」





「教主さんもう一度言う。痛い目見ないうちに石をボク達に渡してほしい」











































なんか冒頭の方シリアス入ってたけど軽く流そう!













つーかエドとアルってさ、マザコン気味だよね★














「(・・・。ボク、モノスゴク不快なコト思われてる気がモノスゴクするんだけど、何でかなぁ?)」



「(オホホ、いやだねぇアル。気にしたら負けだよー?しかも「モノスゴク」って二回も使っちゃってるよー?)」























お前ら何黒いオーラ出して目で話してんだよ・・・。(怯) byエド



























「くく・・・神に近づきすぎ地に堕とされた愚かな者どもめ・・・。ならばこの私が今度こそしっかりと・・・神の元へ送りとどけてやろう!!









教主は手にしていた杖をガトリングに錬成して容赦なく撃ってきた。







まさに銃弾の嵐。












ドガガガガガガガガガガガガガ











「ははははははははは・・・!?」











「いや、オレって神様に嫌われてるだろうからさ、行っても追い返されると思うぜ!」










素早くエドが壁を錬成していたおかげで、エドも後ろにいた私も無事。












おや?アルの姿が見当たらないぞ・・・?















「ち!!」














教主が舌打ちをするのと同時に、アルが(いつの間に)ロゼを庇って逃げてくる。





「この・・・」






「きゃ―――――っ!!!」




「あだだだだだ」






教主はロゼがいるにもかかわらず、アルに向かってガトリングを乱射する。







いや・・・つーかロゼってあんた側の人間なんじゃなかったんですか!?









「くそっ・・・貴様だけでも・・・・・・!!」











「えっ・・・」














教主のガトリングが私の方を向く。










!!」












いや、絶対これ避けられるわけ無い・・・。















途端に両目を瞑った。
















ドガガガ













もうダメ――――

































キンッ    カツッ カッカッ   コロコロ・・・
















































鉛が弾かれて転がる音が聞こえた。





















































「―――――え?」











目を開けたら、目の前には氷の壁。











不意に左手首を見てみると、リストバンドに描かれた錬成陣が光っていた。

















・・・ぶ、無事・・・・・・?









いきなりの出来事に教主の動きが少し止まっている。











!大丈夫か!?」







エドがすぐ駆け寄ってくる。










「う、うん、なんとか・・・」







「よし・・・アル!いったん出るぞ!」









「バカめ!!出口はこっちで操作せねば開かぬようになっておる!!」








「ああそうかい!」













両手を合わせ、壁に扉が錬成された。









「んなあ――――――っっ!!??」








「出口が無けりゃ作るまでよ!!」










勢い良く扉を押し開け、廊下を一目散に走り抜ける。












「こっちだ!」「止まれそこの者!」









逃走中の先には、おじさん共が集まって私達を止めようとしている。








「ほらボウズ、丸腰でこの人数相手にする気かい?」








「ケガしないうちに、おとなしく捕まり・・・」










そのおじさん達に向かって、エドはにこ〜っと笑みを作る。







そして両手を合わせ、機械鎧をでかい刃に錬成した。







顔が恐いですよエドさん・・・。








そのままどんどんおじさん達を蹴散らしていく。









「はい邪魔ー」 あしげっ










ロゼを抱えたまま他のおじさんを走りながら蹴るアル。











うっわー、残酷。













































「お?」











ある部屋の前で先頭きってたエドが止まる。











「この部屋は・・・」





「放送室よ。教主様がラジオで教義をする・・・」







「ほほ――――う」






エドがニヤリとほくそ笑んだ。













































「へぇ〜随分面白いことするんだね」







「おう。これであのハゲの悪行もばれるって寸法だ」







またもやニヤリと笑うエド。








すると、急になにかを思い出したような表情になってこちらを向く。











「・・・・・・そういやお前、さっき・・・」
















バン!














「小僧ォォ―――に小娘ェェ―――、もう逃がさんぞ〜〜〜〜〜〜」









「うっわ、めちゃくちゃ息切れしてるよ」






「だまれ!!」













「もうあきらめたら?あんたの嘘もどうせすぐ街中に広まるぜ?」






「ぬかせ!教会内は私の直属の部下だし、バカ信者どもの情報操作などわけもないわ!」






「やれやれ、あんたを信じてる人達もかわいそうな事だ」












本当だよ、こんなハゲが教主なんて。(違)













「信者どもなど戦のための駒だ!ただの駒に同情など不要!!」









心なしかエドがにやにや笑っている。











「それになあ、神のためだと信じ、幸福のうちに死ねるなら奴らも本望だろうよ!錬金術と奇跡の業の区別もつかん信者を量産して、駒はいくらでも補給可能!これしきの事で我が野望を阻止できるとでも思ったか!!」





















「うわははははは」とまた笑う教主。









「くっ・・・ぶははははは!!」







貰い泣きならぬ貰い笑い!?







「!?何がおかしい!!」







「だぁ――――からあんたは三流だっつーんだよ、このハゲ!」








「えーとえーと・・・バカーッ!能無し――っ!!髪無し――――っ!!!







とりあえず思った事を口に出して叫んでみた。






「貴様ら!!まだ言うか!!」








「これ、なーんだ♪」













教主の動きが止まる。







エドが見せたのは、放送用のマイクのスイッチ。











スイッチ“ON”









「まっ・・・まさか・・・貴様ぁ―――――ッ!!!いつからだ!!そのスイッチいつから・・・・・・」








「最初からもー全部だだもれv」








「つーかお願いだから気付いてよ、こっちは笑い堪えんの必死だったんだからさ――。もーめっちゃ間抜けだよあんた」









「なっなっなっ・・・なんて事を〜〜〜〜〜っっ」










アハ☆もう悪行は裁かれたも同然だねー。












「・・・このガキ・・・ぶち殺





「遅ェよ!!」








バキン







一瞬うちに機械鎧を刃に変え、教主の錬成途中のガトリングを真っ二つに切り落とす。












「言っただろ?格が違うってよ」











「おおーっお見事!!」








エドに向かってぱちぱちと拍手する。











「私は・・・私はあきらめんぞ・・・・・・・・・。この石があるかぎり、何度でも奇跡の業で・・・」








「ちっ・・・」














ばちいっ
















教主が再錬成しようとした時、ガトリングを持つ手から嫌な音が響いた。







教主の右腕が異形な物に変化している。








「・・・ぎゃあああああっ・・・う・・・腕っ・・・私の腕が!!」







「な・・・なんで・・・いったい・・・」










「あああああ痛っあああ」







「うっさい!!」




ゴン!




「ぶあ!!」







エドが、叫ぶ教主の額に頭突きを食らわした。








いや・・・痛い、痛いよそれは・・・。










「ただのリバウンドだろが!!腕の一本や二本でギャーギャーさわぐな!!」






エドは教主の胸倉を掴み、怒鳴る。






「ひィィイイイ〜〜〜」






おーいエドー落ち着いてー。腕は二本しかないよー。









「石だ!賢者の石を見せろ!!」







「ひィ・・・いっ・・・石!?」









ピキッ

























・・・ピキ?
























ボロ・・・























・・・おおお!?






















カラン  サラサラサラ・・・

























・・・えぇ―――。




























「壊れ・・・た・・・」









・・・壊れた!?









「どういう事だ!『完全な物質』であるはずの賢者の石がなぜ壊れる!?」






「し、知らん知らん!!私は何もきいてない!!あああぁたすけてくれお願いだ私が悪かった〜〜〜」







「偽物・・・?」






「石がないと私は何もできん、たすけてくれェェェ〜〜〜〜」








挙句の果てに命乞い・・・。









「ここまで来て・・・やっと戻れると思ったのに・・・偽物・・・・・・」










ど――――ん









ヨロヨロと立ち上がり、スポットライト(何処から!?)の下で絶望するエド。口からは魂が・・・。













「おいおっさん、あんたよォ・・・」







「はいィ!?」どきーん





返事をする教主のポーズがおかしい。









「街の人間だますわ、オレ達を殺そうとするわ」






「え・・・?」







「しかもさんざ手間かけさせやがって、そのあげくが「石は偽物でした」だぁ?」







エドが何かを錬成しているらしく、部屋がどんどん変化していく。







「うわぁ!!」





教主のすぐそばに大きな拳が出来上がっている。






「ざけんなよコラ!!」







錬成されたのはものすごい大きな太陽神レトの像。






「神の鉄槌くらっとけ!!」









ズンッ























































「ハンパ物?」






「ああ、とんだムダ足だ。やっとおまえの身体を元に戻せると思ったのにな・・・」







「ボクより兄さんの方が先だろ。機械鎧は色々大変なんだからさぁ」









エドとアルはそれぞれ溜息をつく。
















「しょうがない、また次さがすか・・・」








溜息をつきつつ立ち上がるエド。

































「そんな・・・」



















声のした方を振り向くと、ロゼが座り込んでいた。



















「うそよ・・・だって・・・生き返るって言ったもの・・・」







「あきらめなロゼ、元から―――」





「・・・なんて事してくれたのよ・・・。これからあたしは!何にすがって生きていけばいいのよ!!教えてよ!!ねえ!!」




































「・・・そんな事自分で考えろ。立って歩け、前へ進め。あんたには立派な足がついてるじゃないか」





そう言って、エドは歩き出す。



















私はロゼの方を振り返り、言った。















「ロゼ、あんたは何かにすがって生きていきたいの?そんなの間違ってるよ。・・・自分の人生なんだから、自分で切り開いていけばいい。自分の意思で自由に、何にも縛られることなくね」







最後に「さよなら」と声をかけて、エドとアルの後を追う。








































もう一度振り返ると、ロゼはただ空を見て涙を流していた。





















-----あとがき-----

管理人「はい。やっとこすっとこ4話です」
エド「おい、何で急にあとがきなんて始めてんだよ」
管理人「えーだって、やっぱ文章読み終わった後に、あとがきは必要でしょう」
エド「どんな理屈だよ」
管理人「まあまあ。これからこんなあとがきが増えるかもですが、不定期かもです」
エド「かもばっかりだなオイ。結局どーなんだよ・・・」(溜息)





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2005.10.01.Sat